片岡一則

ナノ医療イノベーションセンター センター長/東京大学名誉教授

プロフィール

肩書:
公益財団法人川崎市産業振興財団 副理事長
ナノ医療イノベーションセンター センター長
東京大学 名誉教授
東京大学政策ビジョン研究センター 特任教授

学歴:
1974年3月 東京大学工学部合成化学科 卒業
1976年3月 東京大学大学院工学系研究科合成化学修士課程 修了
1979年3月 東京大学大学院工学系研究科合成化学博士課程 修了
1979年3月 工学博士(東京大学)

職歴:
1979年4月 東京女子医科大学医用工学研究施設 助手
1986年3月 同講師
1988年8月 同助教授
1989年4月 東京理科大学基礎工学部材料工学科 助教授
1984年10月 同教授
1998年4月 東京大学大学院工学系研究科材料学専攻 教授
2002年4月 同マテリアル工学専攻 教授(専攻改組のため)
2004年7月 東京大学大学院医学系研究科附属疾患生命工学センター 教授
     (兼任)
2016年3月 東京大学を定年退職
2016年4月~現在 公益財団法人川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター センター長
2016年4月~現在 公益財団法人川崎市産業振興財団 副理事長
2016年4月~現在 東京大学政策ビジョン研究センター 特任教授
              東京大学 名誉教授
2015年10月~現在  ノースカロライナ大学チャペルヒル校薬学部 教授(非常勤)

1992年度 パリ第XIII大学 客員教授
1996年度 パリ第XIII大学 客員教授
2007年度 東北大学 客員教授
2008年度 ミュンヘン大学 客員教授
2010年度 浙江大学 客員教授
2012年度 四川大学 名誉教授

学会等:
2004~2006年 日本バイオマテリアル学会会長
2004~2010年 遺伝子・デリバリー研究会会長
2006~2014年 日本学術会議連携会員(材料工学)
2010~2012年 公益社団法人 高分子学会会長
2012~2013年 コントロールド・リリース学会会長
2014~現在 日本学術会議会員(材料工学)

受賞:
1993年 日本バイマテリアル学会賞
2000年 高分子学会賞
2005年 Clemson Award for Basic Research(米国バイオマテリアル学会)
2008年 Founder’s Award(コントロールド・リリース学会)
2009年 NIMS Award(物質・材料研究機構)
2010年 文部科学大臣表彰科学技術賞
2012年 フンボルト賞(アレキサンダー・フォン・フンボルト財団)
2012年 江崎玲於奈賞
2014年 高分子科学功績賞(高分子学会)
2014年 Lifetime Achievement Award(Journal of Drug Targeting)
2015年 グーテンベルグ賞(マインツ大学グーテンベルグ研究院、ドイツ)

主要な著書・論文等
1. P. Mi, D. Kokuryo, H. Cabral, H. Wu, Y. Terada, T. Saga, I. Aoki, N. Nishiyama, K. Kataoka, A pH-activatable nanoparticle with signal-amplification capabilities for non-invasive imaging of tumour malignancy. Nature Nanotechnol. 11(8) 724-730 (2016)
2. H. Cabral, Y. Matsumoto, K. Mizuno, Q. Chen, M. Murakami, M. Kimura, Y. Terada, M. R. Kano, K. Miyazono, M. Uesaka, N. Nishiyama, K. Kataoka, Accumulation of sub-100nm polymeric micelles in poorly permeable tumours depends on size. Nature Nanotechnol. 6(12) 815-823 (2011)
3. K. Kataoka, A. Harada, Y. Nagasaki, Block copolymer micelles for drug delivery: Design, characterization and biological significance. Adv. Drug Deliv. Rev. 47(1) 113-131 (2001)
4. A. Harada, K. Kataoka, Chain length recognition: Core-shell supramolecular assembly from oppositely charged block copolymers. Science 283(5398) 65-67 (1999)
5. K. Kataoka, G. S. Kwon, M. Yokoyama, T. Okano, Y. Sakurai, Block copolymer micelles as vehicles for drug delivery. J. Control. Release 24(1-3) 119-132 (1993)

講義一覧


ナノマシン技術の進化に必要な「核酸医薬とDDS技術」の進歩

ナノテクノロジーでがんに挑む(8)核酸医薬とDDS技術の進歩の共進

世界的に研究が盛んなナノ医療の分野だが、国際競争における日本の立場はどうなっているのか。また、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の発展にはどのような背景があるのか。核酸医薬とDDS技術の進歩の共進による、医療のさらなる発展が期待されている。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ナノマシンを理解するため重要な3つのポイント

ナノテクノロジーでがんに挑む(7)ナノマシンの実用化に向けて

がん治療での実用が大いに期待されているナノマシン。重要なポイントは「細胞レベルのデリバリー」や「スマート機能」など、3つほど挙げられるが、一方で気になるのは人体へのリスク、つまり安全性についてだ。そのあたりはどうなっているのか。実用化までどの程度の時間がかかるのかなどとともに伺った。(全8話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


mRNAを利用した膵臓がんの「血管新生阻害療法」とは

ナノテクノロジーでがんに挑む(6)ユニットPICとmRNAによるがん治療

がん治療におけるユニットPICとメッセンジャーRNA(mRNA)の具体的な活用事例を紹介する。ドラッグデリバリーシステム(DDS)の観点から、がん治療に新たな可能性を与える2つの画期的な事例は、ナノマシンがもたらすことになる医療革命に説得力を与えてくれる。(全8話中第6話)


核酸医薬が抱える課題解決へ、進む「ユニットPIC」研究開発

ナノテクノロジーでがんに挑む(5)脳腫瘍治療のためのDDS活用<後編>

脳腫瘍治療のためドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いた3つ目のアプローチはサイズチューニング、言い換えると「キャリアシステムの正確なナノサイズ制御」である。抗体サイズの「ユニットPIC」の開発によって、核酸医薬が抱える課題を解決できるという。マウスでの実験で効果を得ており、現在はヒトの臨床試験へと進んでいる。(全8話中第5話)


脳腫瘍の治療薬の効果を高める免疫チェックポイント阻害剤

ナノテクノロジーでがんに挑む(4)脳腫瘍治療のためのDDS活用<前編>

脳腫瘍に対するドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いた具体的な3つのアプローチのうち、2つを解説する。1:免疫チェックポイント阻害剤との併用、2:血管内皮細胞の通過を促進するリガンド分子の装着である。どちらも、脳腫瘍の治療に高い効果を発揮することが分かっている。(全8話中第4話)


がん治療になぜナノマシンを活用したDDSが有効なのか

ナノテクノロジーでがんに挑む(3)ナノマシンを使ったがん治療

ナノマシンを使ったドラッグデリバリーシステム(DDS)によるがん治療は現在、有効性と安全性を調べる第2相まで臨床試験が進んでいる。この仕組みを使えば、がん細胞に直接薬を届けることが可能になる。そこで、特に研究開発が進められているのは、がんの中でも世界的に治療が大変困難とされている脳腫瘍への活用である。(全8話中第3話)


抗がん剤をナノマシンでいかにがん細胞に送り込むか?

ナノテクノロジーでがんに挑む(2)ナノマシンとは何か

体内病院の実現に向けて注目されるナノマシン。ウイルスほどの非常に小さいサイズであるそれは、どのような仕組みと働きを持っているのか。また、体内に入れたとき、どんなことが重要になるのか。生体内外の「信号」を適切に検知し、それに応じた動きをする「スマートナノマシン」について解説する。(全8話中第2話)


ナノマシンによるがん治療…体内病院というイノベーション

ナノテクノロジーでがんに挑む(1)「iCONM」がめざす医療

「iCONM(アイコン)」と呼ばれるナノ医療イノベーションセンターが2015年、川崎に誕生したが、羽田空港へのアクセスの良さなどから世界に開かれた研究施設として注目されている。ではiCONMがめざす医療とはどのようなものなのか。(全8話中第1話)
※冒頭インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


イノベーションのためには社会全体として育てる意識が必要

「研究開発型ベンチャー」成功の条件(3)育てる意識の重要性

欧米のようにベンチャー企業やスタートアップが活躍するにはどうすれば良いのか。それには、企業や個人単位の利益を考えるのではなく、社会全体の成長を見据えた意識を持つことが必要である。アメリカ社会の特徴から起業を取り巻く社会のあるべき姿を考える。(全3話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


日本とアメリカのベンチャーキャピタルはどう違うのか

「研究開発型ベンチャー」成功の条件(2)動機とスピード

日本でもベンチャー企業の数や投資額は急速に増えている。しかし、欧米と比較すると、その市場規模はまだまだ小さい。アメリカのシリコンバレーやボストンのような、有名スタートアップ地区を生み出すにはどうしたらいいのか。また、これから新しくビジネスを立ち上げる際に注意すべき点や必要な視点とは何か。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


資金調達と開発のバランス…ベンチャー企業のメリットとは

「研究開発型ベンチャー」成功の条件(1)なぜベンチャーか?

ベンチャー企業の活躍が目覚ましい。世界的猛威をふるう新型コロナウイルスのワクチンの中にはベンチャー企業によって開発されたものもある。ナノテクノロジーという最先端科学技術による創薬、その実用化のプロセスの中で、ベンチャー企業がどのような役割を担っているのか。大企業との比較におけるベンチャー企業の特徴や、多様な形態について解説する。(全3話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ナノテクノロジーで『ミクロの決死圏』の世界を実現させる

ナノテクノロジーで創る体内病院(1)ナノマシンの作り方

ハリウッド映画『ミクロの決死圏』のように、体内に病院を創る。東京大学政策ビジョン研究センター特任教授でナノ医療イノベーションセンター長の片岡一則氏は、自動的に診断や投薬、手術までも行えるナノマシンの研究開発に取り組んでいる。ナノマシンは、様々な構造体にすることができ、さらに体内のpH変化に反応して、投薬などさまざまな行動を取ることができる優れものだ。(全5話中第1話)


ナノマシンは難治性のがん治療にも有効に作用する

ナノテクノロジーで創る体内病院(2)難治性のがん治療

東京大学政策ビジョン研究センター特任教授でナノ医療イノベーションセンター長の片岡一則氏が最も力を入れているのは、難治性のがん治療だ。ナノマシンは、従来ならば薬剤が効きにくい薬剤耐性がんにも有効に作用する。それはいわば、ナノスケールの「トロイの木馬」であり、効果を検証する実験でも、ナノマシンでがんの増殖が抑制できることが確認されている。(全5話中第2話)


ナノマシンによる投薬は抗がん剤の副作用すら緩和する

ナノテクノロジーで創る体内病院(3)副作用なきがん治療

ナノマシンを用いたがん治療は、膵臓がんや脳腫瘍のような薬が届きにくいがんにも有効だ。また抗がん剤で問題となる副作用も、ナノマシンによる投薬ならば解決可能だ。研究を進める東京大学政策ビジョン研究センター特任教授でナノ医療イノベーションセンター長の片岡一則氏によれば、数年以内には様々な抗がん剤を乗せたナノマシンが承認され、使用可能になるという。(全5話中第3話)


ナノマシンはアルツハイマー病の治療にも有効

ナノテクノロジーで創る体内病院(4)ナノ医療の未来

ナノマシンを使った最先端治療が研究されているのは、がんだけではない。東京大学政策ビジョン研究センター特任教授でナノ医療イノベーションセンター長の片岡一則氏によれば、ナノ治療が最終的に目指すのは、まさにバラ色の未来だ。再生医療で関節の痛みはなくなり、長期入院も不要になる。アルツハイマー病さえ過去の病にしてしまう可能性を、ナノマシンは持っている。(全5話中第4話)


ナノマシン医療でナイチンゲールの予言を実現化する!

ナノテクノロジーで創る体内病院(5) 病院の要らない社会

3,000年前に松葉杖を発明した人類は、今世紀、ナノマシンによって体内に病院を創ろうとしている。東京大学政策ビジョン研究センター特任教授でナノ医療イノベーションセンター長の片岡一則氏が強調するのは、研究とビジネスの融合だ。同氏は、ベンチャー企業から医療を日本の基幹産業にしていくという。ナイチンゲールが予測した「病院の要らない社会」は、目の前に現れようとしている。(全5話中第5話)