河合祥一郎

東京大学大学院総合文化研究科教授

プロフィール

1960年生まれ。東京大学文学部英文科卒。東京大学およびケンブリッジ大学より博士号を取得。日本シェイクスピア協会会長(2019-2020)。
著書に第23回サントリー学芸賞受賞の『ハムレットは太っていた!』(白水社)、『シェイクスピア 人生劇場の達人』(中公新書)、『謎解き『ハムレット』(ちくま学芸文庫)、『シェイクスピアの正体』(新潮文庫)、『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(祥伝社新書)、NHKテレビテキスト 100分de名著『シェイクスピア「ハムレット」』(NHK出版)など。監訳に 『シェイクスピア大図鑑』(スタンリー・ウェルズほか著、三省堂)。

講義一覧


志賀直哉、太宰治、小林秀雄…対立する『ハムレット』批評

深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(6)現代への影響と文化的財産

シェイクスピア作品は現在もさまざまな形式で翻訳され、また再演され続けて、その解釈や批評も更新されている。中でも『ハムレット』に関しては、ドイツ・ロマン主義を代表する文豪ゲーテをはじめ、A・W・フォン・シュレーゲル、またイギリス・ロマン主義の批評家ウィリアム・ハズリットや詩人サミュエル・テイラー・コールリッジなどが自身の解釈を展開。一方、日本でも志賀直哉や太宰治、小林秀雄などが『ハムレット』批評を行っている。彼らはいったいどのような考えを述べているのか。具体的な言葉を参照しながら、その受容の歴史をひも解く。(全6話中第6話)


理屈抜きで感動!シェイクスピア・マジックのネタばらし

深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(5)時空間を操るシェイクスピア・マジック

あまりにも奔放でいい加減なのに感動を呼ぶ「シェイクスピア・マジック」とは何か。今なお再演され続ける数々の不朽の名作を生み出したシェイクスピアだが、具体的にどのような点に彼の作品の魅力、画期性があるのだろうか。近代演劇のフォーマットとされる「三一致の法則」と照らし合わせることで、「シェイクスピア・マジック」と呼ぶべきその独創的な作劇の全貌が見えてくる。(全6話中第5話)


最も素晴らしい愚行は恋愛…シェイクスピアの喜劇世界

深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(4)シェイクスピアの喜劇世界と人間の愚かさ

「人間の最も素晴らしい愚行は恋愛」――シェイクスピアは、“人間の愚かさ”を嘆くのではなく、喜劇を通じてそれを寿いだ。それは、過ちを犯すことこそ人間の本質と考えた、当時の人文主義的な思想とも重なる。過ちの極致にあるのが恋愛。今回は、『夏の夜の夢』『お気に召すまま』などを取り上げながら、愚かさの象徴としての恋愛をモチーフに描いたシェイクスピアの喜劇世界を解説する。(全6話中第4話)


『リア王』と『マクベス』でシェイクスピアは何を描いたか

深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(3)『リア王』『マクベス』が描く人間の本質

シェイクスピアの四大悲劇のうち、『リア王』と『マクベス』を取り上げる今回。王座を退いた男の悲哀を描いた『リア王』、王になる野望の前で葛藤するさまを描いた『マクベス』。それぞれを読み解きながら、シェイクスピアが表現しようとした人間の本質を明らかにしていく。(全6話中第3話)


『ハムレット』への誤解…理性と情熱の間で揺れる主人公

深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(2)『ハムレット』が描く「理性と情熱」

シェイクスピアの代表作といえば『ハムレット』である。ハムレットのことを「憂鬱な悩める貴公子」とイメージしている方が多いかもしれないが、そこには大きな誤解があると言う河合氏。冷たい理性と熱い情熱の対比こそこの作品の本質だというのだ。いったいどういうことなのか。本作が描かれた背景や作中のセリフを参照しながら、『ハムレット』のエッセンスをひも解いていく。(全6話中第2話)


シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?

深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎

なぜ田舎者で無教養の青年シェイクスピアが世界的劇作家になれたのか。『ハムレット』や『リア王』など、数々の有名な戯曲を著したイギリスの劇作家シェイクスピアだが、実はその生涯には謎が多い。今回はまず、シェイクスピアの生い立ちを振り返り、そこに潜む不可解な点から議論が巻き起こったシェイクスピアの別人説を詳細に紹介する。(全6話中第1話)