新たなビジネスを発展させてこそ国家歳入も拡大する
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(5)東西貨幣統一とビジネス創造
田沼意次は、大岡越前の金融緩和策を受け継ぎつつ、さらに東西貨幣の統一などの積極的な経済・金融政策に打って出る。その政策は、やはり気配りが行き届き、実効性が高いものであった。さらに田沼意次は、国家歳入を拡大させるためには、新たなビジネスを興隆させて、それにうまく対応することがいちばんだと見抜いていた。その革新的な手法とはいかなるものだろうか。(全6話中第5話)
元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(5)東西貨幣統一とビジネス創造
田沼意次は、大岡越前の金融緩和策を受け継ぎつつ、さらに東西貨幣の統一などの積極的な経済・金融政策に打って出る。その政策は、やはり気配りが行き届き、実効性が高いものであった。さらに田沼意次は、国家歳入を拡大させるためには、新たなビジネスを興隆させて、それにうまく対応することがいちばんだと見抜いていた。その革新的な手法とはいかなるものだろうか。(全6話中第5話)
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(4)田沼意次の評価と具体的政策
田沼意次は、全方位に向けた気配り、心配りを重んじ、また、金融や財政の大切さを強調していた。そんな田沼意次が、さまざまなブレインの声を集めつつ、進めていこうとした政策とは何だろうか。そのことを見ていきつつ、田沼時代の金融政策の背景となる荻原重秀(徳川綱吉の時代)と大岡越前守忠相(ただすけ。徳川吉宗の時代)のリフレ政策を見ていく。課題は、経済の発展と通貨供給量のバランスであった。江戸の経済官僚たちは、試行錯誤しながら、採るべき政策を見出すべく挑みつづけていた。(全6話中第4話)
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(3)田沼意次の5大政策
江戸経済の発展に伴い、貨幣供給の調整や産業振興が求められる中、田沼意次はどのような施策を打ち出し、実行していったのか。「幕府税収をいかに増やすか」に焦点化した意次の5つの政策を解説する。また、彼の人物像や評価についても、周囲の声とともにさらに掘り下げる。(全6話中第3話)
日本人の「所得の謎」徹底分析(3)分配議論の理由と副作用
日本はこの30年間、民間の所得が増えない中、公的支出によって伸び悩みを肩代わりしてきたように見える。もっといえば、公的支出の存在があるので、民間の所得が伸びなくても良い環境になってしまったともいえる。だが、その姿は正しいか。はたして、「分配議論」は、経済全体にどのような二次的な影響を与えるのだろうか。実は、そこかしこに「マイナスの影響」が出かねないのだが……。日本の所得を「俯瞰(ふかん)」したときに、見えてくるものとは?(全3話中第3話)
※本講義は長期会員(年間会員&2年会員)限定講義です。
日本人の「所得の謎」徹底分析(2)奇妙な貯蓄フローと預金残高
では、日本の所得・収入の過去30年の推移を調べると、何が見えてくるだろうか。1994年からの30年間で、民間同士の取引で生じる所得は、増減はあれどほぼ上がっていないのに、公的関与の部分は50兆円も増えている。さらに、本来は「貯蓄>預金」となるはずなのに、2011年あたりから「預金増のほうが大きい状態」が続いている。この奇妙な状況から、日本経済のどのような姿が浮かび上がるのだろうか?(全3話中第2話)
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日本人の「所得の謎」徹底分析(1)所得の国際比較とその中身
いま、税や社会保障など「分配」の議論が盛んに行われている。しかし、そのような議論の前提として、われわれは現在の日本の「所得」の中身がどうなっているのか、世界と比較してどうなのかを、詳しく知っておく必要があるのではないだろうか。その実態に迫っていくと、「いかに世界と比べて所得が伸びていないか」「国などの財政資金に由来する所得の比率がどれほど大きいか」が見えてくる。日本の所得をマクロ視点で丸裸にしていく。(全3話中第1話)
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田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(2)田沼以前の経済状況
田沼時代、耕作面積が頭打ちとなる中で生産性向上が進み、経済圏が多極化した。そうした中、大坂一極集中の物流網からやがて地方同士で流通させるネットワークが生まれ、江戸地回り経済圏へと発展する。今回は、そうした農業生産性の変化、物流網の発展、貨幣政策について、貨幣不足が経済に与えた影響、リフレ・デフレ政策の変遷と合わせて解説する。(全6話中第2話)
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(1)田沼意次の生い立ちとその時代
田沼意次の人物像と政策を通して、江戸時代の転換期を振り返る今シリーズ。農産物・工産物の流通・発展、また貨幣経済の拡大など、田沼時代の特徴を振り返る。まずは、田沼意次の生涯である。田沼意次の父は一説には浪人だったともいわれるが、徳川吉宗の信任を得て、吉宗の側近となり、その息子の意次も、実力を発揮して出世の道を歩んでいった。田沼意次が、その生涯の中で見てきたもの、行おうとしたことは何だったのか。(全6話中第1話)
株価と歴史…トランプ関税の影響を読む(2)株価リターンの歴史から考える
トランプ関税の影響を、歴史を踏まえつつ分析していく講義。第2話ではいよいよ、アメリカ、ドイツ、香港、日本などの株価の歴史を追いながら検証していく。実は株価の歴史的な動きを把握するためには、「株価」の動きでみるのではなく、「log(対数)スケール」で分析すべきだという。logスケールで分析すると、数値の変化率を視覚的に捉えることができるのだ。では、各国の株式市場の歴史的推移をこれで分析すると、何が見えてくるのだろうか。加えて、トランプ政権の政策決定力学をどう読むべきかも仮説として考えていく。(全2話中第2話)
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株価と歴史…トランプ関税の影響を読む(1)アメリカ史の教訓とは
トランプ関税の影響は、今後、どのように広がっていくのだろうか? 過去の大きな構造変化や金融環境の変化が各国の「株価リターン」にどのような影響を与えたのかを分析しつつ、今後を考えるヒントがないかを検証していく。第1話では、1920年代のアメリカの状況との類似性や、第二次世界大戦後に基軸通貨国として繁栄してきた経緯を踏まえつつ、現在のアメリカの変化を整理していく。(全2話中第1話)
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お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(6)日本の課題解決にお金を回す
国内でいかにお金を生み、循環させるべきか。既存の大量資金を社会課題解決に向けて循環させるための方策はあるのか。日本の財政・金融政策を振り返りつつ、産業育成や教育投資、助け合う金融の再構築を通した、バランスの取れたお金の循環を考える。(全6話中第6話)
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(5)円安と実質所得低迷の構造的要因
日本国内でのお金の回りが芳しくない一方、海外への資金流出が強まっている。そこに日本経済の構造的課題と円安の要因が見え隠れする。今回はそれらを掘り下げるとともに、過去の緊縮財政が引き起こした悲劇も振り返りながらインフレや所得格差への影響について解説する。(全6話中第5話)
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(4)資産循環の日米比較
日本の経済成長が停滞する一因として、お金の「死蔵」が挙げられる。その背景にある資金偏在の問題とは何か。財政支出の影響や日米のマネー活用の違いを検証し、日本の資産循環モデルの課題と改善策を考える。(全6話中第4話)
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(3)お金がつくる景気の波…民間VS政府
お金の量が短期間に大量に変化すると、景気に大きく影響を与えるケースがある。米国のリーマンショックやコロナショック、さらに日本のバブル崩壊やアベノミクスなどを検討しつつ、お金の生まれ方と量の変化、そして景気の関係について考えていく。とりわけ、銀行貸し出しによってマネー量が短期間に変動した場合と、財政主導によるマネー創出の比較から見えてくるものとは。(全6話中第3話)
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(2)お金の総量と国債…残念なブタ積み
社会に流通するお金の総量を司っているのは日本銀行券を発行する日銀だと、一般には思われているかもしれない。しかし、日銀がお金を生み出すその量はあくまで受動的に決定されており、その増減の鍵を握るのは人々の需要と民間銀行の国債購入にある。一方で民間マネーを生み出さない「ブタ積み」も時に発生してしまう。実務的なことを理解できると、その実際の仕組みが明快に見えてくる。お金が生み出されるメカニズムに迫る。(全6話中第2話)
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
日本経済が低迷する原因は何か。大きなポイントとして「お金が回っておらず、死蔵されてしまっていること」が挙げられる。そもそも、お金が市中にどのように流通し、どのような役割を果たしていくのかを理解しなければ、経済を正しく理解することはできない。経済のしくみを理解するうえで欠かすことができないメカニズムと、日本経済に隠された課題に肉薄する講義シリーズ。第1話では、社会でお金が流通する仕組み、特に、「信用創造」「預金創造」と呼ばれる銀行がお金を生むことについて解説する。(全6話中第1話)
歴史的転換点における影の主役「インフレ」(3)「韻を踏む」歴史に学ぶ
「インフレと恐慌」と呼ばれる経済危機が繰り返し訪れる、第1次世界大戦以降の日本経済、財政政策の顛末には、当時との共通点の多い現在の日本が学ぶべき教訓が大いにある。最終話の今回は、戦間期終盤から戦後の日本を振り返り、積極財政むなしくインフレに至った経緯を見ていこう。これからの日本経済の行く末を見通すうえで重要なのは「韻を踏む」歴史への視座である。(全3話中第3話)
歴史的転換点における影の主役「インフレ」(2)幕末のインフレと1900年代前半
インフレ傾向が強まる現在の日本経済だが、幕末にもインフレは起こっていた。黒船来航に震災、疫病など複合的な要因で発生したインフレの影響により明治維新へと突き進んでいくことになるのだが、実は現在の日本とよく似た状況にあったのは幕末期だけではない。1900年代前半、特に第1次世界大戦が始まった1914年から第二次世界大戦前までの日本もまた、安全保障上の緊張やパンデミックに直面しており、現在の情勢と重ね合わせることができる。戦争特需や世界恐慌などに翻弄され、浮き沈みした当時の日本経済を振り返る。(全3話中第2話)
歴史的転換点における影の主役「インフレ」(1)現代と幕末の共通点
紛争やパンデミックなど、さまざまな事象に直面する世界の中で、日本経済も揺れ動いている。不確実な社会情勢の影響を受ける金融市場を見極めるためには、歴史を顧みることが有効である。過去を振り返ると、「紛争」「震災」「疫病」、そして「インフレ」との関係性が、幕末という時代と重なっていることが見えてきた。当時行われた貨幣の改鋳、また金銀交換比率問題などを取り上げながら、幕末と現代の共通点を解説していく。(全3話中第1話)
為替レートから考える日本の競争力・購買力(2)円安の歴史的背景と日本の課題
1995年以降、実質為替レート指数は円安に転じたのだが、それはなぜか。また、なぜ足許では購買力平価から乖離した円安水準になっているのか。今回は「50年ぶりの円安」に至った実際の円相場の動向を振り返り、その背景にあった中国の台頭や東日本大震災などの社会情勢の影響や産業構造の変化について解説しながら、これからの日本が取り得る施策を展望する。(全2話中第2話)
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
「50年ぶりの円安」などといわれることがある。だが、ドル円レートだけを見ると50年前の当時よりは円高であるように見える。このギャップは、どこから生じるのだろうか。為替相場を正しく理解するには「実質為替レート」や「購買力平価」といった用語を理解し、為替レートと物の値段の双方から分析する必要がある。今回は、それらの用語を解説しつつ、ビッグマックの価格(ビッグマック指数)なども例に取り上げ、為替についていかに理解するべきかを、分かりやすく解説していく。(全2話中第1話)
2023年前半の金融市場と日本の行方(2)米国の逆イールド現象と為替の動向
アメリカの逆イールド現象は、いかなる状況を招くのだろうか。過去の事例を参照しながら、今後の動向を読んでいく。また、1971年と同レベルの円安状況となった日本。今後もこの状況は変わらないのだろうか。ニクソンショック以来の円安となった要因はどこにあり、日本の投資家は今、何を考えるべきであろうか。(全2話中第2話)
2023年前半の金融市場と日本の行方(1)全体観と日本株の動向
2023年春の時点で、世界経済ならびに金融市場でどのようなことが起こっているかについて解説する。実は現在、米国2年国債と10年国債の利回りの逆転現象が起きている(逆イールド現象)。これは通常、大きな景気後退前に現れる現象だというが……。そのようななか、足許では日本の株価上昇が目立ったが、これはどのような要因によるのか。さらに、日本銀行の金融政策はどうなるのか。そして、欧米の金融機関の破綻をどう見るべきか。わかりやすく分析していく。(全2話中第1話)
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
資産運用は身近なテーマだが、実際の運用において何を判断材料にすればいいのかを知る機会は少ない。養田功一郎氏は、その時の短期的な社会情勢や経済状況を見ていればいいというわけではないと語る。短期、中期、長期の3つの視点で考え、歴史的視点から洞察することが重要なのである。今回は、30年余りに渡って運用に携わり金融市場を見続けてきた養田氏から、市場の動向を的確に見通すための思考法について学ぶ。