講義一覧
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(6)SNS対応を誤ったパタハラ事案
大手の総合化学メーカーがパタハラでSNS対応を誤った事案から、危機管理の問題点を考える最終話。2019年6月に起こったこの事案は当時、SNSで大炎上し、株価がその年の初来最安値まで下落したのだが、なぜそこまで大きな問題となったのか。経過を追いながらその要因について分析するとともに、シリーズ講義の総まとめとして、コンプライアンスを法令遵守と捉えることの危うさ、危機管理の最重要概念としてのレピュテーション・リスクなどについて改めて強調する。(全6話中第6話)
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(5)情報セキュリティと顧客情報持ち出し事件
個人情報を取り扱う際、企業は当然、細心の注意を払わなければならない。そのため、情報の取り扱いに関する教育や研修が広く一般に行われているが、教えられていることが細かな知識ばかりで、本質を欠くものであっては危機管理として不十分である。では本質とはなにか。大事なことは2つあると國廣氏は指摘する。今回はある顧客情報持ち出し事件を事例に、情報セキュリティと内部統制の問題について考える。(全6話中第5話)
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(4)事例からみる内部統制の実際
内部統制が企業にとって重要であることは言うまでもないが、行き過ぎた内部統制はむしろ「百害あって一利なし」だ。そして、内部統制とはとかくそうなりがちなものでもあるのだ。講師が実際に経験した事例を通じて、過剰なルールベースに警鐘を鳴らしつつ、その反対概念としてプリンシプル(原理原則)ベースの内部統制の重要性を訴える。(第4話)
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(3)内部統制の基礎
コンプライアンスとともに、今や企業の活動にとって不可欠なものとなっている「内部統制」。この言葉には堅苦しく、書類をたくさん作らなければいけないとか、チェックリストが増えるなど、面倒な作業が多いイメージがあるが、その内実は「仕組み」による企業のリスク管理のことで、経営者が行うものである。そこで今回は、内部統制の基礎について、似ているようで少し違う「コーポレートガバナンス」との関係にも触れながら説明する。(全6話中第3話)
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(2)社会の変化から考えるハラスメント
セクハラ、パワハラ、マタハラなど、ハラスメントにはさまざまな種類がある。その全てが法令違反というわけではないが、企業のリスク管理において、役員・経営幹部のセクハラは一発退場になるのが現在の常識となっている。では社会規範が日々変化する中、どのような言動が許され、あるいは許されないのか。また、その境界線をどのように捉えればいいのか。ハラスメントの問題について、コンプライアンスの観点から考える。(全6話中第2話)
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
ビジネスに関わる者であれば必ず耳にしたことがあるであろう「コンプライアンス」という言葉。一般的には「法令遵守」と訳されることが多いが、そのような理解ではその本質を見落としてしまう。2019年のリクナビ事件とかんぽ生命事件の実例解説を通じて、レピュテーション・リスクという観点からコンプライアンスの本質を明らかにする。(全6話中第1話)
「ものがたり」のあるコンプライアンス(1)その本質とは
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、コンプライアンスの本質にある「ものがたり」について解説する。一般的に、コンプライアンスは「やらされ感」のあるもので、「元気の出る」ものではないと考えられている。ここには「なぜ」コンプライアンスをすべきかという、ものがたり(物語)が欠如している。本来、コンプライアンスは企業の成長戦略と一体となったものなのだ。(全7話中第1話)
「ものがたり」のあるコンプライアンス(2)モグラたたき
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、NHKのインサイダー取引事件を例に、コンプライアンスの失敗について解説する。当時NHKでは、過去3,000万件の伝票がチェックされるなど、コンプライアンスが徹底されていた。だが、こうした「モグラたたき」ではリスク管理に失敗する。必要なことは、何のための仕事かを考え、リスクへの想像力を働かせることだ。(全7話中第2話)
「ものがたり」のあるコンプライアンス(3)会社法
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏によれば、会社法施行規則第100条は、多くの企業に最低限共通するものを単に並べただけのものだ。この条文に頼っている限り、コンプライアンスはつまらないものになってしまう。三菱自動車のリコール隠しの教訓を踏まえ、なぜ自分たちの会社があるのかという本質に立ち返り、リスク管理を自分の頭で考えるべきだ。(全7話中第3話)
「ものがたり」のあるコンプライアンス(4)官製談合
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、官製談合をやめることを決めたある会社を取り上げ、コンプライアンスの成功例として紹介する。確かにコンプライアンスの徹底によって、苦しい状況に陥ることもあるだろう。しかし、トップが自社は何のためにあるのかを考えて、コンプライアンス徹底の決断を下せば、それが企業価値の向上につながっていく。(全7話中第4話)
「ものがたり」のあるコンプライアンス(5)損失の公表
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、バブル崩壊後の巨額の損失を公表することに決めた会社を取り上げ、コンプライアンスの成功例として紹介する。危機的な状況を恐れず、創業時の思いに立ち返って損失の公表を決めたその会社の会長の決断は、市場で好意的に受け止められた。何のために仕事をしているのかという、ストーリーを持って危機に臨むことが重要だ。(全7話中第5話)
「ものがたり」のあるコンプライアンス(6)労働問題
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、労働問題発覚後のすき家の対応を取り上げ、コンプライアンスの成功例として解説する。問題発覚後、第三者委員会は過酷労働の事実と原因を徹底的に究明した。すき家はそれを真剣に受け止め、体質改善を果たすことに成功する。企業が本当に回復するためには、第三者委員会のこうした徹底調査が欠かせない。(全7話中第6話)
「ものがたり」のあるコンプライアンス(7)経営戦略
国広総合法律事務所パートナーで弁護士の國廣正氏が、「ものがたり」のあるコンプライアンスについて解説するシリーズ最終回。コンプライアンスを「やらされ感」のあるものではなく、「元気の出る」ものにするためには、自発的に「なぜ」という視点で考える必要がある。ものがたりとしてコンプライアンスを捉えることで、面白い仕事ができるようになるはずだ。(全7話中第7話)