住明正

理学博士/東京大学名誉教授/東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員

プロフィール

<略歴>
1971年東京大学理学部物理学科卒業、1973年同大学院理学系研究科修士課程修了。気象庁東京管区気象台調査課、気象庁予報部電子計算室、ハワイ大気象学教室助手、気象庁予報部電子計算室、東京大学理学部地球物理学助教授、東京大学気候システム研究センター教授、同気候システム研究センター長を経て、2005年東京大学サステイナビリティ学連携研究機構地球持続戦略研究イニシアティブ統括ディレクターを兼任、2006年東京大学サステイナビリティ学連携研究機構・教授。 
2012年から独立行政法人国立環境研究所理事に就任、2017年4月に退任。

<研究内容>
専門分野は気象学、気候力学。地球温暖化問題に取り組んでいる。

<主な著書>
『地球惑星科学』(編著、岩波書店)
『実践!体験!みんなでストップ温暖化〈1〉調べて発表!温暖化のしくみ』(学研教育出版)
『温室効果ガス貯留・固定と社会システム』(共著、コロナ社)
『気候変動がわかる気象学やりなおしサイエンス講座』(NTT出版)
『地球環境とわたしたちの暮らし』(監修、実業之日本社)
『さらに進む地球温暖化』(ウエッジ選書)
『大気大循環モデル、本音で話そう地球温暖化』(丸善)
『地球温暖化問題とは何か、理科総合B 第3編』(数研出版)
『エルニーニョと地球温暖化』(オーム社)
『考えよう地球環境(全7巻)』(ポプラ社)
『科学に基づく政治交渉の重要性、第1章、地球温暖化問題の再検証』(東洋経済新報社)
『地球史が語る近未来の環境、第4章気候の近未来予測』(東大出版社)
 など、他に共著書多数。

<受賞歴>
1983年日本気象学会山本賞「冬季モンスーンの大規模な特徴の研究」
1994年日本気象学会藤原賞「熱帯大気・海洋系の相互作用の研究」
2005年日経地球環境技術賞。

講義一覧


地球温暖化問題は大気という衣が地表を暖めて発生している

地球温暖化問題~温室効果と異常気象(1)気温の問題と温室効果

「大気があるから、地球の温度は安定している」と、国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏は語る。それはなぜか。「温室効果」とはどういうものか。シリーズ「地球温暖化問題」第1回。(全4話中第1話目)


イベントアトリビューションで鬼怒川の災害経験を生かす

地球温暖化問題~温室効果と異常気象(2)イベントアトリビューションとは

最近は、毎年日本や世界のどこかで極端な気象が起こっているが、その異常気象は地球温暖化によるものなのか。「イベントアトリビューション」という方法を使えば、地球温暖化の影響を計測できると国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏は語る。イベントアトリビューションとはいったい何か。シリーズ「地球温暖化問題」第2回。(全4話中第2話目)


台風予測の精度がスーパーコンピュータで飛躍的に上がる

地球温暖化問題~温室効果と異常気象(3)季節予報の精度向上へ

近年、強い大型台風やゲリラ豪雨が頻発し、毎年、大きな被害を出している。2~3週間先、あるいは1カ月から半年前後の時間スケールで、より正確な気象予報ができれば、そうした災害対策にも有用性は高い。地球温暖化予測の研究をそうした短期予測に応用することで、何が見えてくるのか。国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏のシリーズ「地球温暖化問題」第3回。(全4話中第3話目)


緩和策と適応策で地球温暖化に伴う気候変動に備える

地球温暖化問題~温室効果と異常気象(4)排出削減から適応策へ

長期・短期の予測と問題意識を踏まえ、では、地球温暖化の具体的な対策として、何をどうしていくべきなのか。また、実際問題として、何が可能なのか。すぐできること、時間をかけてしていくこと。国がすること、個人ができること。国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏が、さまざまな角度から温暖化対策の希望を語る。シリーズ「地球温暖化問題」最終回。(全4話中第4話目)


地球温暖化の将来のリスクを今のコストとして考える難しさ

地球温暖化のリスクとコスト

地球温暖化に関するリスクを列挙することは比較的簡単だが、それを経済的コストで表現することは難しいと、国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏は言う。リスクを将来に起こる可能性として考えた場合、それを現在のコストとしてどう負担するのか。住氏にお話を伺った。


「異常気象」はマスコミ用語! 気象に異常も平均もない

「不確実性」と「不都合」の確率分布

長期の将来予測に付きまとう問題は「不確実性」だ。しかし、全ての事象は基本的に確率統計的事象である。地球温暖化も「異常気象」の問題も、人間の心理を抜きには考えられない。われわれが感じる「不確実性」と「不都合」について、国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏が明快に解き明かす。


地球温暖化対策は「地球のため」ではなく「人間のため」

地球の限界と日本人が幸せになれる道

地球温暖化対策は、「地球のため」ではなく「人間社会のため」だ、と国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏は言う。それはどういうことなのか。今後われわれが取り組んでいくべき課題について、住氏に伺った。


天気予報は実学からファッション、新エネ活用の切り札に

気象予測の歴史と今後の展望

天気予報(気象予測)は現代の生活には当たり前の存在となっている。日本では西洋の技術が明治期に導入されるまで、「観天望気」と呼ばれる技術を蓄積してきた。各地に残る日和山の地名はその名残だ。そんな気象予測の歴史と今後の展望について、国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏に伺った。


「サステナビリティ学」はお金やモノ以外の幸せを考える

サステイナビリティ学とは何か

2005年、東大初の分野横断的組織として創設されたのがサステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)だ。3つのSは、System、Sustainability、Scienceの頭文字であり、地球・社会・人間という3つのシステムの統合による持続型社会の構築を目指している。IR3S教授にして国立研究開発法人国立環境研究所理事長を務める住明正氏にその学問内容を伺った。