廣瀬陽子

慶應義塾大学総合政策学部教授

プロフィール

1995年 慶應義塾大学総合政策学部卒業
1997年 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了
2001年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学
2006年 慶應義塾大学博士(政策・メディア)

[在外研究]
2000~01年 国連大学秋野フェローとしてアゼルバイジャンで在外研究
2013~14年 米国コロンビア大学ハリマン研究所訪問研究員
2017~18年 フィンランド・ヘルシンキ大学アレクサンテリ研究所訪問研究員
2018年 米国戦略国際問題研究所(CSIS)「Strategic Japan」プロジェクト 訪問研究員

[主な職歴]
2002~05年 慶應義塾大学総合政策学部専任講師(~2005年3月31日)
2005~07年 東京外国語大学大学院地域文化研究科平和構築・紛争予防英語講座専任講師
2007~08年 同 准教授
2008~10年 静岡県立大学国際関係学部准教授
2010~16年 慶應義塾大学総合政策学部准教授
2016年~  同 教授 (現 職)
2019~23年 同 湘南藤沢メディアセンター所長
2022年~  同 KGRI (Keio University Global Research Institute) 副所長

[主な著書]
『旧ソ連地域と紛争:石油、民族、テロをめぐる地政学』慶應義塾大学出版会(2005年)。
『強権と不安の超大国・ロシア――旧ソ連諸国から見た「光と影」』光文社新書(2008年)。
『コーカサス 国際関係の十字路』集英社新書(2008年7月/※第21回アジア・太平洋賞特別賞受賞〈2009年〉)。
『ロシア 苦悩する大国、多極化する世界』アスキー新書(2011年8月)。
『未承認国家と覇権なき世界』NHK出版(2014年8月刊行)。
『アゼルバイジャン:文明の十字路で躍動する「火の国」』群像社(2016年6月)。
『ロシアと中国:反米の戦略』ちくま新書(2018年7月5日)。
『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』講談社現代新書(2021年2月17日)。
〔共編著〕『コーカサスを知るための60章』(2006年4月)、明石書店。
〔共編著〕『アゼルバイジャンを知るための67章』(2018年8月)。

講義一覧


プーチンがいなくなっても終わらない…戦争終結の条件とは

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(7)ロシア・ウクライナ戦争の終わり方

長期化するロシア・ウクライナ戦争だが、諸外国の思惑と不安が錯綜する中、ロシアの完全撤退を求めるウクライナと、それを拒むロシアという、どちらにとっても負けられない戦争が続いているという状態だ。では、この戦争が終わるための落とし所はどこにあるのか。両者の交渉は困難な状況にあるのが現状だが、周辺国や日本の対応を含め、この戦争の終わり方について考える。(全7話中第7話)


出稼ぎかテロリストか…旧ソ連諸国からの労働移民の現実

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(6)狭間の政治学で考える旧ソ連諸国

いまだ予断を許さないロシア・ウクライナ戦争。その今後を展望するためには、旧ソ連諸国がいかに生き残っていくかを考える「狭間の政治学」という視点が重要だ。タジキスタン、ウズベキスタン、キルギスなどの小国は、大国といかにバランスを保ち外交していくべきなのか。親ロシア地域の台頭で脅威が迫るモルドヴァなど、旧ソ連諸国の現状と課題を解説する。(全7話中第6話)


ロスアトムは制裁外…世界に影響を与えるロシア原子力産業

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(5)持てる国の強みとグローバルサウス

「持てるもの」の強み――ヨーロッパの国々からの制裁をかわし、継戦能力を維持しているロシアには、エネルギーと食糧という豊富な資源がある。それらを武器に制裁への報復も仕掛けているロシアだが、中でも注目すべきは世界に影響を与えるロシア原子力産業、ロスアトムの存在である。制裁をかけられないということだが、いったいどういうことなのか。さらに、存在感を増すグローバルサウスを取り込もうとしているロシアの動きとともに、国際社会に突きつけられた問題について解説する。(全7話中第5話)


白物家電を軍事転用!?…深刻な「制裁の抜け道」問題

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(4)制裁の効果と抜け道の問題

ウクライナへのハイブリッド戦争を繰り広げるロシアにとって誤算だったのは、ヨーロッパの国々からの強い制裁である。しかし、ロシアはその制裁に対し、これまでの通商の姿勢を変えて厳しい状況に順応し、国力を維持させている。これは制裁の効果はあるが、ロシアにはそれが響いていないことを意味する。そこには制裁の抜け道があるからだ。どういうことなのか。具体的に並行輸入やデュアルユース品といった抜け道を駆使するロシアの動きを解説する。(全7話中第4話)


民間軍事会社はとても便利…ワグネル創設の背景とその顛末

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(3)ワグネル創設の背景とロシアの思惑

3つのフェーズで考えることができるハイブリッド戦争だが、情報戦を主としたフェーズ1を経て、フェーズ2に至ると、いよいよ軍事的脅迫がなされる。その脅迫は正規軍だけでなく、民間軍事会社も動員して行われるのだが、民間軍事会社としては特にロシア・ウクライナ戦争で有名になったワグネルが挙げられる。そもそもワグネルは表舞台に出てはいけない違法な存在であったが、その活動は活発化していくことになる。なぜワグネルは創設されたのか。その背景とロシアの思惑について解説する。(全7話中第3話)


もはや定義できないハイブリッド戦争、多様化と進化の現実

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(2)ハイブリッド戦争とは何か

ロシアのウクライナへの侵攻は、多様な手段を組み合わせた「ハイブリッド戦争」だといわれる。ではハイブリッド戦争とは何か。多様化と進化を続けるこの戦争を定義することは難しいという現実があるが、イメージとして3つのフェーズを提示する廣瀬氏。今回はその中でまず「フェーズ1」について、ロシアによる「ハイブリッド戦争」の実態を交えながら解説する。(全7話中第2話)


オウンゴールも!?ロシアにとって許しがたいNATO拡大の背景

ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大

長期化の様相を呈しているロシア・ウクライナ戦争。ウクライナに対してロシアが仕掛けているのは、多角的な手段を用いた「ハイブリッド戦争」である。それはいったいどのような戦略なのか。本シリーズ講義では、まずはこの戦争の全体像を把握するため、ロシアの勢力圏構想とNATO拡大の背景、また、なぜロシアがウクライナを重要視するのかについて解説する。(全7話中第1話)