講義一覧
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(6)気密の必要性と断熱改修の効果
冬の寒さ対策において欠かせないのは実は断熱だけでない。もう一つのキーワードが「気密」である。残念なことだが、日本の家は断熱・気密性が不足しているという前氏。本当に冬暖かく、足元から快適に過ごしたいという場合には、気密が非常に大事で、「気密なき断熱は無力」だという。いったいどういうことなのか。新築だけでなく建築済みの建物にもできる断熱対策についてと合わせて解説する。また最後に、シリーズを通して伝えてきた建築における断熱の重要性について、おさらいをして講義を締めくくる。(全6話中第6話)
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(5)断熱はどこまでやればいいのか
私たちが快適に生活するために重要な断熱だが、いったいどれくらいまで行えばいいのか。ヒントになるのが、2024年4月から始まった省エネ性能ラベルである。分譲・建売住宅や賃貸住宅についてその表示が推奨されているのだが、そこに載っている国土交通省が定める「断熱等級」の違いを実際の家屋の映像で見ると、より断熱の重要性を実感できるだろう。今回はその「断熱等級」をガイドにして、これからの住宅に必要な断熱性能を解説する。(全6話中第5話)
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(4)冷房効果を左右する断熱性能
年々過酷さを増す夏の暑さ。室内での熱中症患者も多くなっているが、冷房の使用をためらってしまう人も少なくない。冷房の使用を躊躇する理由として、節電やエアコンの不快さといった動機が挙げられるが、電力事情や断熱性能の観点から、それらの理由の妥当性を考えてみよう。(全6話中第4話)
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(3)なぜ夏も冬も断熱が必要なのか
「断熱」というと、冬の寒さ対策としてイメージされがちだが、実は夏場にも欠かせない重要なものだと言う前氏。それは、断熱すると、冬の暖房時は暖かく、夏の冷房時は涼しくなるからだ。今回は断熱がいかに夏冬の室温管理に不可欠な装備であるか、断熱が作用するメカニズムについて、遮熱との違いにも触れながら詳しく解説する。(全6話中第3話)
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(2)日本の夏の暑さと建物の弱点
夏の暑さが年々厳しくなっている日本だが、100年前と比べると特に東京の場合、真夏日が2倍以上の90日、つまり3カ月続くというデータが出ている。中でも注意すべきは熱中症で、室内の高温化によって救急搬送されるケースが増えている。また、最近増えているのが「教室が夏に暑いので、生徒たちがかわいそうだ」という学校からの問い合わせである。実際に調査して分かったのは、非常に不健康で危険な校舎の現状である。どういうことなのか。今回は、日本全国に広がる夏の暑さの状況をデータで確認した上で、日本の建物の弱点ともいえる基本性能の問題点を解説する。(全6話中第2話)
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏の暑さが厳しく、冬は寒すぎるのか。近年、気候変動の影響など温暖化の問題が指摘されているが、実は原因は日本の住環境にあった。毎年のように気温が変化する中、日本の住環境は100年以上前と基本的にほとんど同じで、熱と空気の出入りを防げない家づくりが普通だったからだ。では、一年を通じて快適で健康に暮らすことのできる住環境はいかにして実現できるのか。そのキーワードは「断熱」である。従来の日本の住環境のウィークポイントについて、まずは冬の寒さに目を向けて考える。(全6話中第1話)