阿部誠

東京大学 大学院経済学研究科・経済学部 教授

プロフィール

1991年マサチューセッツ工科大学博士号(Ph.D.)取得後、同年からイリノイ大学助教授に就任。1998年東京大学大学院経済学研究科助教授を経て、2004年から現職。フンボルト大学(ベルリン)、UCLA(アメリカ)、イェール大学(アメリカ)、ニューサウスウェールズ大学(シドニー)、シンガポール国立大学にて、客員教授、准教授、研究員を歴任。

ノーベル経済学賞受賞者との共著を含め、マーケティング学術雑誌に論文を多数掲載。2003年にJournal of Marketing Educationからアジア太平洋大学のマーケティング研究者 第1位に選ばれる。日本マーケティング・サイエンス学会の代表理事、学会誌前編集長。

おもな著書に『(新版)マーケティング・サイエンス入門:市場対応の科学的マネジメント』(有斐閣)、『マーケティングの科学―POSデータの解析』(朝倉書店)、『大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)、『東大教授が教えるヤバいマーケティング』(KADOKAWA)、『大学4年間の行動経済学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)などが、監修に『サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学』(新星出版社)などがある。

講義一覧


サブスク、年間購読、セット売り…仕組みで満足度を上げる

行動経済学とマーケティング(6)実際のビジネスで満足度を上げる方法

実際のビジネスにおいて、取引効用を増やすことによって総効用(満足度)を上げることができる。では取引効用を増やすためにはどうすればいいのだろうか。鍵となるのは、前回解説した「取引効用理論」を構成する要素である「内的参照価格」。最終話では、その内的参照価格を参照しながら、実際に取引効用を増やすための方法について具体的に解説する。(全6話中第6話)


同じ商品なのに…満足度に影響を与える「3つの価格」

行動経済学とマーケティング(5)取引効用理論と「3つの価格」

行動経済学で「取引効用理論」と呼ばれるものがある。取引をした際の全体的な効用(満足度)は当然、高ければ高いほうがいいというものだが、取引の満足度は「3つの価格」に影響されるという。はたして「3つの価格」とは何か。それらに影響を与える要因とともに解説する。(全6話中第5話)


ギャンブルのマーケティング…あぶく銭効果とは何か

行動経済学とマーケティング(4)出費を左右する「心理的会計」

ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学・テイラー教授の提唱する「心理的会計(心理的勘定)」という理論がある。私たちは普段のお金の使い方について、頭の中に複数の口座を持ち、それぞれ価値観が異なるため、買う・買わないの判断が異なる、つまり購買の“ハードル”が異なるという。いったいどういうことなのか。今回は、この理論について具体例を挙げながら解説する。(全6話中第4話)


「松」が鍵…オトリ商品によって起こる「極端の回避」とは

行動経済学とマーケティング(3)オトリ商品の罠とアンカリング効果

「オトリ商品の罠」という現象がある。寿司屋を例に挙げると、松竹梅という3つのメニューにおいて、オトリ商品の出し方を3つほど提示するのだが、そうすると、それぞれオトリになる商品があることによって、選択率が変わるというデータが上がってくる。今回は、行動経済学の「ヒューリスティックとバイアス」という手法を使い、「アンカリング効果」という心理学的な効果とオトリ商品の具体的な出し方を紹介する。(全6話中第3話)


直観型と熟慮型…2つの思考回路を使い分ける人間の特徴

行動経済学とマーケティング(2)行動経済学を構成する「3つの分野」

行動経済学は、3つの分野で構成されている。「現象の描写」「メカニズムの説明と理論」「実社会への適用」の3つだが、それぞれどのようなものなのか。詳しく解説し、従来の経済学との違いを明確にしていく。(全6話中第2話)


人間はそれほど合理的ではない…行動経済学の本質に迫る

行動経済学とマーケティング(1)「行動経済学」とは何か

最近、「行動経済学」という言葉をよく見聞きするが、これはそもそもどういうものなのか。第1回目は行動経済学の基本を、行動経済学という分野がなぜ従来の経済学とは別に誕生・発展したのか、行動経済学が考える人間像や前提とは何かなどとともに解説する。(全6話中第1話)