江崎昌子

洗足学園音楽大学・大学院教授/日本ショパン協会理事

プロフィール

桐朋学園大学を卒業後、ポーランド・ワルシャワショパンアカデミー研究科修了。

1995年第6回ミロシ・マギン国際ピアノコンクール第1位(フランス)、1997年第4回シマノフスキ国際ピアノコンクール第1位及び最優秀シマノフスキ演奏賞(ポーランド)、
1998年第21回サレルノ国際ピアノコンクール第1位及び最優秀ドビュッシー演奏賞(イタリア)、2005年、第31回日本ショパン協会賞受賞。
2010年、ポーランド政府より、外国人に贈られる文化勲章“グロリア・アルティス”銅メダルを受勲。

これまでにポーランド各地のオーケストラとの共演や、モスクワ放送響、チェコフィル、東京交響楽団、新日本フィル、日本フィル、大阪フィルなどと共演。
横浜市招待国際ピアノ演奏会、NHK・FMリサイタルなどに出演。CDは、オクタヴィアレコードよりポーランドの作品集や、2005年からはショパン全曲集を展開しており、レコード芸術誌において特選盤となるなど高い評価を受けている。

現在、洗足学園音楽大学・大学院教授、日本ショパン協会理事。

講義一覧


ショパンの心臓はなぜポーランドに?遺言と祖国への想い

ショパンの音楽とポーランド(9)絶筆のマズルカ

ショパンは「自分の心臓はポーランドに」という遺言を姉に託した。それゆえ姉は、ショパンの心臓をアルコール漬けにして、ポーランドに持ち帰った。「11月蜂起」の失敗後、ポーランドに戻ることができなかったショパンだが、心臓だけは祖国に帰ることができたのだ。いま、その心臓はワルシャワの聖十字架教会にある。講座の最後に演奏するのは、ショパンの絶筆「マズルカ第49番ヘ短調 作品68-4」である。半音階が移ろっていくようなこの曲の響きに、われわれは何を感じるだろうか。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ポーランド分割、11月蜂起…革命のエチュードの真意とは?

ショパンの音楽とポーランド(8)ポーランドの苦悩と革命のエチュード

ピアノ演奏と講義でショパンを追いかける連続シリーズの第8話は、「ポーランドの苦悩」と、そのなかでショパンが作曲した「革命のエチュード」に焦点を当てる。シュラフタ(貴族)たちによる民主主義的な政治を実現したポーランドは、それゆえこそ外国から干渉を招き、遂には3度に及んでロシア、オーストリア、プロイセンによって国家分割されてしまう。1830年に11月蜂起が起きるが、翌年には敗北。ちょうどその頃に、ショパンは「革命のエチュード」を作曲する。絶望的な激しい曲調だが、最後の叩きつける和音は長調で書かれている。それは、なぜなのだろうか。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


マリアとサンド…ショパンの恋がどんな曲を生み出したのか

ショパンの音楽とポーランド(7)ショパンの恋

ピアノ演奏と講義でショパンを追いかける連続シリーズ第7話では、「ショパンの恋」に焦点を当てる。婚約までしたマリアへの想いは「別れのワルツ」に込められたが、ショパンの結核もあって、周囲の反対により結ばれることがなかった。そんな経緯を知ったうえで聴くと、マリアの肖像画のような曲であるようにも思えてくる。その後、出会ったジョルジュ・サンドとの暮らしもまた、多くの名曲を生んだ。ここでは、ワルツ第6番(「子犬のワルツ」)とワルツ第7番を聴く。恋愛はショパンの名曲を導いたようである。(全9話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ポロネーズとは?…ショパンが誇り高い音楽に込めた思い

ショパンの音楽とポーランド(6)ショパンとポロネーズ

ピアノ演奏と講義でショパンを追う連続シリーズ第6話では、「ショパンとポロネーズ」に焦点を当てる。貴族の行進から始まったといわれるポロネーズは、宮廷舞踏として発展したが、ショパンはその誇り高きポロネーズを用いて「ポーランドの栄光」を描いた。ここではバッハ作曲の「ポロネーズ」を聴いてポロネーズの基本を知り、さらにピアニストとして名声を集め、ショパンの楽譜の校訂も行ない、後にはポーランドの首相まで務めたパデレフスキが作曲した華々しいポロネーズも併せて鑑賞する。(全9話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ノクターン…ショパンは演奏会では即興的にアレンジしていた

ショパンの音楽とポーランド(5)ショパンとノクターン

「子守歌」に続いて、有名なノクターン(ノクターン第2番 作品9-2)も聴いていく。ショパンのノクターンには、とても歌謡的な側面がある。普通の楽譜でもそうだが、実はショパンは自分自身がコンサートなどで演奏する際には、同じメロディーを2度と弾かないくらいに、さまざまな装飾を即興的に加えていたという。今回は、そのような装飾が書き込まれている楽譜を演奏する。現代のジャズの演奏にも通じるような音楽の楽しみ方が、そこにはあった。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


子守歌…左手がずっと同じ伴奏を繰り返す「夢の世界の作品」

ショパンの音楽とポーランド(4)ショパンと子守歌

ピアノ演奏と講義でショパンを追う連続シリーズ。続いて「ショパンと子守歌とノクターン」に焦点を当てるが、第4話で見ていくのは「子守歌」である。左手のゆったりした伴奏の上で、右手が自由に旋律をかなでる曲調は「ショパンの言語」と言われるものだが、その究極のすがたが子守歌にある。そのショパンの作風に影響を与えたかもしれないポーランドの子守歌も聴きながら、ショパンの音楽の秘密に迫る。(全9話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ショパンはいかにマズルカを芸術的な作品に高めていったか

ショパンの音楽とポーランド(3)ショパンのマズルカ

ピアノ演奏と講義でショパンを追う連続シリーズ第3話では、「ショパンとマズルカ」に焦点を当てる。ショパンの心の日記とも称されるマズルカ。実にショパンは、生涯で50曲以上も作曲している。元々、農村の楽しい民族舞踊であった「マズルカ」だが、やがてショパンは、郷愁やポーランドを思う悲しみのような気持ちをマズルカにしたためていくようになる。(全9話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


マズルカとは何か?ポーランド民族舞踊とショパンの秘密

ショパンの音楽とポーランド(2)マズルカの原点を探る

ピアノ演奏と講義でショパンを追う連続シリーズ第2話では、ショパンが愛した「マズルカ」という曲に迫る。そもそもマズルカは、ポーランドの民族舞踊である。もともとマズルカには三つの踊りがある。「マズル」「クヤヴィヤック」「オベレク」であり、それぞれテンポもキャラクターも違う。それらがどのようなものか、実際に演奏して紹介していく。(全9話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生まれ、早くから音楽の天才の名をほしいままにしたショパンは、故郷ポーランドを喪失した作曲家でもあった。彼の人生、そして彼の芸術に大きな影響を与えた恋愛について概観する。(全9話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)