兵藤裕己

学習院大学名誉教授

プロフィール

1950年名古屋市生まれ。
京都大学文学部卒業、
東京大学大学院人文学科研究科修士課程修了。
文学博士。
埼玉大学教養学部助教授、教授、
また成城大学文芸学部教授を経て、学習院大学文学部教授。
専門は、鎌倉室町時代の文学および芸能。
1996年『太平記<よみ>の可能性』でサントリー学芸賞、
2002年『<声>の国民国家・日本』でやまなし文学賞の研究・評論部門で受賞。
また、校注に『太平記』(岩波文庫、全6巻、2014-2016)がある。

〔主要著書〕
『後醍醐天皇』(岩波新書、2018)
『平家物語の読み方』(ちくま学芸文庫、2011)
『王権と物語』(岩波現代文庫、2010)
『琵琶法師―<異界>を語る人びと』(岩波新書、2009)
『「声」の国民国家―浪花節が創る日本近代』(講談社学術文庫、2009)
『演じられた近代―<国民>の身体とパフォーマンス―』(岩波書店、2005)
『太平記「よみ」の可能性―歴史という物語』(講談社学術文庫、2005)
『岩波講座・文学 全十四巻』(編集委員、岩波書店、2002-2004)
『物語・オーラリティ・共同体―新語り物序説』(ひつじ書房、2002)
『平家物語の歴史と芸能』(吉川弘文館、2000)

講義一覧


楠木正成や菅原道真の末路から分かる、根付かない能力主義

『太平記』に学ぶ激動期の生き方(6)後世に与えた影響

能力主義によって台頭してきた楠木正成だが、彼も結局は討ち死にしてしまった。しかし、この時代に後醍醐天皇がめざした「天皇と民が直接結びつく」という考えが、のちの明治以降の日本の原型となっていく。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


後醍醐天皇が目を付けたのは楠木正成の交易ネットワーク

『太平記』に学ぶ激動期の生き方(5)楠木正成の意外な人物像

『孟子』の思想は鎌倉時代に生きる人々に強い影響を与え、『太平記』を通して幕末の志士にまで影響を及ぼすことになった。その思想の影響を受けた一人、楠木正成はいったいどのような人物だったのか。じつは彼は、流通経済や鉱山技術に通じていた可能性も指摘されるような、商業を担う新しいタイプの武士だったのだ。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


在野草莽の楠木正成と後醍醐天皇の関係が導く倒幕の論理

『太平記』に学ぶ激動期の生き方(4)『孟子』の思想が与えた影響

後醍醐天皇の鎮魂の物語と源平交代史が折り重なった『太平記』。さらには、物語に組み込まれた『孟子』の思想が、この書を濃密に色づけていくことになる。江戸時代、はては幕末から明治にかけても大きく影響することになった『孟子』の思想とは、どういったものだったのか。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


建武の新政と千種忠顕、文観、阿野廉子らは本当に悪か?

『太平記』に学ぶ激動期の生き方(3)2つの評価が交差する「建武の新政」

元の記述に足利政権が改訂の筆を入れたために、複雑な物語となった『太平記』。具体的に、どのような人物についてどのような描き方をされているのだろうか。それを読み取ることで、さらに『太平記』の物語の特長が浮かび上がり、この書物の面白さにつながっていく。(全6話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


後醍醐天皇の鎮魂物語だった『太平記』改訂の秘密

『太平記』に学ぶ激動期の生き方(2)『太平記』の複雑な成立過程

人物の評価が一面的である『平家物語』に比べ、登場する人物のさまざまな側面を描き出している『太平記』。そのような特徴を持つに至った大きな原因は、その複雑な成立過程にあった――。いかにして『太平記』は出来上がっていったのか、その真相に迫る。(全6話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学

『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか

『太平記』の名は多くの人が知るところだろう。だが、『太平記』がどのような書物であるかを詳しく知っている人はそう多くない。実は『太平記』は、日本の古典文学の中でも特異な性質を持ち、後の日本に実に大きな影響を与えたのである。混乱の世を描いた『太平記』から、いまわれわれ現代人が学ぶべきこととは何か――。(全6話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)