吉川洋

東京大学名誉教授

プロフィール

【学歴】
1974年3月 東京大学経済学部経済学科卒業
1974年9月 イェール大学大学院経済学部博士課程入学
1978年12月 同上 修了(Ph.D. イェール大学)

【職歴】
1978年9月 ニューヨーク州立大学経済学部助教授
1982年7月 大阪大学社会経済研究所助教授
1988年9月 東京大学経済学部助教授
1993年2月 東京大学経済学部教授
1996年4月 - 2016年3月 東京大学大学院経済学研究科教授
2009年10月 - 2011年9月 東京大学大学院経済学研究科長・経済学部長
2016年4月 立正大学経済学部教授
2016年6月 東京大学名誉教授
2019年4月 - 2022年3月 立正大学学長(第34代学長)

【専門分野】
マクロ経済学、経済政策論

【主な研究実績(著書・編著)】
『少子高齢化の下での経済活力』日本評論社, 2010.(藤田昌久氏との編著)
『高度成長 日本を変えた6000日』、中公文庫、2012。【単著】
『デフレーション』、日本経済新聞出版社、2013。【単著】
“Stochastic macro-equilibrium: a microfoundation for the Keynesian economics,” Journal of Economic Interaction and Coordination, Vol.10, 1, 2015, pp31-55.【単著】
『人口と日本経済』、中公新書、2016。【単著】
『マクロ経済学』第4版、岩波書店、2017。【単著】

【学会等の活動】
日本経済学会(2002年度会長)
American Economic Association

【公職(主なもの)】
財務省財務総合政策研究所名誉所長(2017年4月~)
財務省財政制度等審議会会長(2010年~2017年3月)
財務省財政制度等審議会臨時委員(2017年4月~)
内閣官房 社会保障改革に関する集中検討会議委員(2011年)
内閣官房「経済の好循環現実に向けた政労使会議」委員(2013年9月~2014年12月)
内閣府「選択する未来」委員(2014年1~11月)
内閣府景気動向指数研究会(旧経済企画庁景気基準日付検討委員会)委員(1995年~)
日本学術会議会員(2011年10月~2017年9月)
厚生労働省社会保障審議会委員(2011年~)

講義一覧


「隠れた価値」にはお金の世界と相性が悪いものもある

経済社会と「隠れた価値」の行方(5)貨幣に代わるもの

急速に変化し続ける現代の経済システムの中で、かつて良いものとされてきたさまざまな価値は姿を消しつつある。そうした「hidden value(隠れた価値)」の問題をなんとか解決したいが、その中には市場経済になじまないものもある。そこで求められるのは、そうした価値を評価できる新たな仕組みの構築である。対談後の質疑応答編。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


「隠れた価値」 を顕在化させるためにはどうすればいいか

経済社会と「隠れた価値」の行方(4)「隠れた価値」の顕在化

これまで潜在的にあった「hidden value(隠れた価値)」を、現在の経済社会の中で顕在化させるのはどうすればいいか。「新しい貨幣」と呼ばれるものをつくることも一つのアイデアとして考えられるが、そこは鍵となるのはテクノロジーの活用ではないか。(全5話中第4話)


地域を超えてwelfareを代表するような評価をできないか

経済社会と「隠れた価値」の行方(3)貨幣と地域経済

Amazonなど便利な物流の登場で、町の小さな本屋などで行われてきた対面のコミュニケーションなどの、商品化されない効用は姿を消しつつある。小宮山宏氏は、新たな貨幣体系を創設することで、こうした既存の経済システムでは賄い切れない価値をすくい取ることの重要性を強調する。吉川洋氏は、そうした提案自体はハイエクのような経済学者によって提起されてきたが、小宮山氏の問題意識の解決にはつながらないのではないかと懐疑的である。(全5話中第3話)


ある水準を超えるとHappinessと所得の関係はファジーになる

経済社会と「隠れた価値」の行方(2)所得とwelfare

所得とwelfareの関係には限界があるのではないか。ある水準を超えると所得が上がってもwelfareが必ずしも増えることにはならないからだ。では、お金によって規定される現在の経済体系とは異なる、welfareやhappinessといった基準を取り入れた経済体系は実現できないだろうか。(全5話中第2話)


「hidden Value」をどのように考えるかが重要

経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値

われわれは経済社会の中で生活しているにもかかわらず、その中でどのような価値が隠れているのか、よく知らない。吉川洋氏によれば、価値は主観的なものであり、それ自体は決して人間の幸福を直接的に測る基準ではないという。しかし、それでもGDPと平均寿命の相関関係からも分かる通り、経済は人間の幸福と密接に結びついている。今回の対談シリーズは、経済がそれ自体、主役でない、いわゆる「縁の下の力持ち」であることを明らかにする。(全5話中第1話)