田島木綿子

国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹

プロフィール

【経歴】
1997年3月 日本獣医生命科学大学(旧:日本獣医畜産大学)獣医畜産学部 獣医学科卒業
2004年3月 東京大学大学院農学生命科学研究科 獣医学専攻 博士課程修了 博士号(獣医学)取得
2004年4月 東京大学大学院農学生命科学研究科 特定研究員
2005年4月 Marine Mammals Commission’s Visiting Scientist at University of Texas Medical Branch at
      Galveston and The Marine Mammal Center.
2006年4月 国立科学博物館 動物研究部 技術補佐員
2006年10月 国立科学博物館 動物研究部 支援研究員
2015年4月 国立科学博物館 動物研究部 研究員

【研究分野】
海棲哺乳類学
比較解剖学
獣医病理学

講義一覧


「海の哺乳類」が海の中で行った「生き残り作戦」とは

「海の哺乳類」の生き残り作戦(1)分類と海牛目の特徴

「海の哺乳類」は、その進化の過程で一度陸に上がってから再び海に戻って水棲適応した哺乳類についての名称である。彼らは海の中でさまざまな「生き残り作戦」を展開してきた。それはどんな作戦だったのか。今回は海の哺乳類のうち、特に海牛目が水棲適応のために獲得したいくつかの機能に注目する。(全5話中第1話)


鼻の穴が1つしかないハクジラの「エコロケーション」とは

「海の哺乳類」の生き残り作戦(2)収斂とエコロケーション

今回はアザラシやアシカなどの鰭脚類と、ハクジラをはじめとする鯨類について解説する。アシカは前肢を使って泳ぎ、アザラシは後肢を使って泳ぐということや、ハクジラは鼻の穴が1つしかないなど、それぞれの特徴を説明するなかで、重要キーワードとして挙げたのが「収斂進化」と「エコロケーション」だ。それらは一体どんな特徴なのか。(全5話中第2話)


ストランディング調査から分かった環境汚染物質との関係

「海の哺乳類」の生き残り作戦(3)ストランディング

海の哺乳類が海岸に打ち上げられる現象を「ストランディング」と呼ぶが、博物館などに展示されている資料や標本の多くはストランディングの漂着物を活用したもので、そうしたものが新種の発見などにも貢献している。しかし、ストランディングについての調査を進めていく過程で、環境汚染物質との関連性が浮上してきた。(全5話中第3話)


哺乳類がここまで繁栄できた理由は「胎生」にある

「海の哺乳類」の生き残り作戦(4)オスとメスの秘密

哺乳類は皆、子宮、胎盤を持っているが、子どもを産むまでお腹のなかに収めておけるこのスタイルが、哺乳類繁栄の鍵なのだと田島氏は言う。また、子孫を残すための作戦はオスもメスも持っているが、特にオスの陰茎の特徴を見ていると確実な受精のために惜しみない努力がされていることがよく分かる。(全5話中第4話)


クジラやイルカにある「浮いた骨」の正体とは

「海の哺乳類」の生き残り作戦(5)骨盤と舌骨の秘密

実際に骨の標本を見ながら、鯨類に見られる骨盤や舌骨の特徴などについて解説する最終話。クジラやイルカには、体から離れた「浮いた骨」があるが、その正体は骨盤の名残だという。どういうことなのか。陸の哺乳類とは異なる海の哺乳類の骨のあり方を知ると、彼らが生き残るための工夫を随所に凝らしていることがよく分かる。(全5話中第5話)