中谷宇吉郎氏が「天から送られた手紙」と表した雪の多様性
雪氷防災の今とこれから(1)雪の性質と降り方
地球温暖化などの影響を受け、最近の冬は暖かくなり雪が減ったといわれるが、本当にそうだろうか。雪崩をはじめとして路面凍結による道路の通行止め、歩行者の転倒など、雪による事故のニュースは後を絶たない。実際のデータから「雪は減っているのか」、また空から降る雪の性質について、解説いただく。(全7話中第1話)
防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 特任参事/長岡技術科学大学 客員准教授
雪氷防災の今とこれから(1)雪の性質と降り方
地球温暖化などの影響を受け、最近の冬は暖かくなり雪が減ったといわれるが、本当にそうだろうか。雪崩をはじめとして路面凍結による道路の通行止め、歩行者の転倒など、雪による事故のニュースは後を絶たない。実際のデータから「雪は減っているのか」、また空から降る雪の性質について、解説いただく。(全7話中第1話)
雪氷防災の今とこれから(2)積雪と雪害
雪の形や性質は、降り積もった後、気象条件や重量、水の介在などにより変化していく。性質の変化が雪崩の起きやすさや吹雪につながるので、専門機関では積雪の研究に余念がない。ここでは、屋根の上に積もった雪が落ちてくると、どのぐらいの衝撃があるか、動画で確かめていく。(全7話中第2話)
雪氷防災の今とこれから(3)着雪・冠雪・圧雪の被害
吹雪や表層雪崩、地吹雪を起こすのは、「軽い」雪である。湿った雪はくっつきやすくなり、払い落としにくい着雪や冠雪として被害を与える。積もれば積もるほど重くなる着雪は、時には住宅を壊すほどの力を持つ。雪には、「滑りやすさ」の特性もあり、車の交通に支障をきたす。(全7話中第3話)
雪氷防災の今とこれから(4)大雪をもたらすメカニズム
「平成は暖冬少雪」と言われながら、平成28~29(2017~18)年の北陸は豪雪に見舞われた。備えのある雪国とはいえ、24時間で60センチもの雪が降ると、さまざまな場面に支障が起こる。今回は大雪をもたらすメカニズム、それによる実際の被害状況を語っていただく。(全7話中第4話)
雪氷防災の今とこれから(5)2014~2015年の雪氷災害
2014~2015(平成25~26)年の冬も、雪による記録が塗り替えられた。2月には首都圏をはじめ関東と東北の太平洋側に大雪が降り、山梨県甲府市では過去最大かつ2倍もの積雪を記録した。この年の後半にも多くの雪が降り、建物の倒壊が相次いだことが分かっている。そのメカニズムは、降雪量だけではないという。(全7話中第5話)
雪氷防災の今とこれから(6)雪害に対する備え
雪氷対策はハードとソフトの両輪でやっていかないと追いつかない。雪害に備えて、スノーシェッドや雪崩予防柵、消雪パイプなどのハードを完備することは、経済的に困難だからだ。大雪・吹雪の予測を精緻化し、ソフト対策を進める努力の一例として、那須岳雪崩事故の教訓を今後に生かす方法が模索された。(全7話中第6話)
雪氷防災の今とこれから(7)多様化する雪氷災害に向けて
防災科学技術研究所雪氷防災研究センターでは、「雪氷災害イベントツリー」を作成し、雪の性質による災害への備えを進めている。降雪装置を用いた防災実験、積雪層の構造解明などから、多様な雪氷災害を予測し、全国に呼び掛けるシステムも開発中だ。2018年には着雪に備える「雪おろシグナル」も稼働した。(全7話中第7話)