上石勲

防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 特任参事/長岡技術科学大学 客員准教授

プロフィール

新潟県上越市出身

【学歴・経歴】
昭和57年3月  富山大学理学部地球科学科(雪氷学講座)卒業
 昭和59年3月  富山大学大学院理学研究科(雪氷学講座)修了
 平成6年3月   新潟大学大学院自然科学研究科(社会人入学)
 平成19年4月~ 長岡技術科学大学客員准教授

【職歴・研究歴】
 昭和59年4月 (株)アルゴス入社
 平成9年4月 (株)アルゴス取締役部長
 平成18年11月 防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター
 平成25年4月 防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター センター長
 平成28年4月 防災科学技術研究所 気象災害軽減イノベーションセンター 副センター長(併任)
 平成28年10月 防災科学技術研究所 熊本地震復旧復興支援本部 副本部長(併任)
 平成29年4月 防災科学技術研究所 首都圏レジリエンス研究センター 副センター長(併任)
令和2年 防災科学技術研究所イノベーション共創本部副本部長(併任)
令和4年 防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 特任参事
【専門】
 雪氷工学、災害調査

【資格】
 博士(学術)新潟大学
 技術士(建設部門(道路)、建設部門(河川・砂防))
 防災士

【著書等】
 ・斜面防災・環境対策技術総覧 人工雪崩(2003年 斜面防災・環境対策技術総覧編集委員会)
 ・雪崩対策の基礎技術崩対策工の調査・計画・設計((社)日本雪氷学会)
 ・除雪・防雪ハンドブック2005(防雪編)((社)雪センター雪崩調査)
 ・雪崩のはなし 2008
 ・NHK学ぼうBOSAI命を守る防災の知恵 2016
 ・NHKそなえる防災/コラム/大雪編 2015-2018

【学協会】
 (一社)日本雪氷学会理事
 日本雪工学会副会長

【賞罰】
①2001年度 日本雪氷学会北信越支部 大沼賞
「雪崩調査及び研究に関する実務と研究を結ぶ貢献」
②2003年度 日本雪工学会上信越支部 技術賞
 「雪崩防災に関する総合的な調査研究」
③2005年度 日本雪工学会 技術賞
 「道路雪氷・雪崩対策に係わる技術的貢献」
④2006年度 国土交通省 雪崩災害防止功労者表彰
 「数多くの雪崩現地調査により得られた知見と、雪崩シミュレーションや 人工雪崩等の技術とを融合させた新たな雪崩災害防止手法を考察・開発し、雪崩防災の技術的発展に大きく貢献」
⑤2014年度 (一社)北海道開発技術センター 寒地技術賞(学術部門)
 「融雪型火山泥流発生機構解明のための高熱岩石による融雪実験とモデル計算」
⑥2017年度 (一社)日本計算工学会 論文賞
 「非ニュートン流体モデルを用いた雪崩の3次元非構造有限要素解析」
⑦2019年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)
 「北海道中標津町における地域密着型吹雪災害予測システムの開発」

講義一覧


中谷宇吉郎氏が「天から送られた手紙」と表した雪の多様性

雪氷防災の今とこれから(1)雪の性質と降り方

地球温暖化などの影響を受け、最近の冬は暖かくなり雪が減ったといわれるが、本当にそうだろうか。雪崩をはじめとして路面凍結による道路の通行止め、歩行者の転倒など、雪による事故のニュースは後を絶たない。実際のデータから「雪は減っているのか」、また空から降る雪の性質について、解説いただく。(全7話中第1話)


屋根に積もった雪が落ちてくると衝撃はどれぐらいあるか

雪氷防災の今とこれから(2)積雪と雪害

雪の形や性質は、降り積もった後、気象条件や重量、水の介在などにより変化していく。性質の変化が雪崩の起きやすさや吹雪につながるので、専門機関では積雪の研究に余念がない。ここでは、屋根の上に積もった雪が落ちてくると、どのぐらいの衝撃があるか、動画で確かめていく。(全7話中第2話)


吹雪や表層雪崩、地吹雪を起こすのは「軽い」雪

雪氷防災の今とこれから(3)着雪・冠雪・圧雪の被害

吹雪や表層雪崩、地吹雪を起こすのは、「軽い」雪である。湿った雪はくっつきやすくなり、払い落としにくい着雪や冠雪として被害を与える。積もれば積もるほど重くなる着雪は、時には住宅を壊すほどの力を持つ。雪には、「滑りやすさ」の特性もあり、車の交通に支障をきたす。(全7話中第3話)


「暖冬少雪」では決してなかった2000年以降の平成時代

雪氷防災の今とこれから(4)大雪をもたらすメカニズム

「平成は暖冬少雪」と言われながら、平成28~29(2017~18)年の北陸は豪雪に見舞われた。備えのある雪国とはいえ、24時間で60センチもの雪が降ると、さまざまな場面に支障が起こる。今回は大雪をもたらすメカニズム、それによる実際の被害状況を語っていただく。(全7話中第4話)


太平洋側に降る雪も社会的影響が非常に大きい

雪氷防災の今とこれから(5)2014~2015年の雪氷災害

2014~2015(平成25~26)年の冬も、雪による記録が塗り替えられた。2月には首都圏をはじめ関東と東北の太平洋側に大雪が降り、山梨県甲府市では過去最大かつ2倍もの積雪を記録した。この年の後半にも多くの雪が降り、建物の倒壊が相次いだことが分かっている。そのメカニズムは、降雪量だけではないという。(全7話中第5話)


雪氷対策はハードとソフトの両輪がないと追いつかない

雪氷防災の今とこれから(6)雪害に対する備え

雪氷対策はハードとソフトの両輪でやっていかないと追いつかない。雪害に備えて、スノーシェッドや雪崩予防柵、消雪パイプなどのハードを完備することは、経済的に困難だからだ。大雪・吹雪の予測を精緻化し、ソフト対策を進める努力の一例として、那須岳雪崩事故の教訓を今後に生かす方法が模索された。(全7話中第6話)


「雪氷災害イベントツリー」を作成し、災害予測に結び付ける

雪氷防災の今とこれから(7)多様化する雪氷災害に向けて

防災科学技術研究所雪氷防災研究センターでは、「雪氷災害イベントツリー」を作成し、雪の性質による災害への備えを進めている。降雪装置を用いた防災実験、積雪層の構造解明などから、多様な雪氷災害を予測し、全国に呼び掛けるシステムも開発中だ。2018年には着雪に備える「雪おろシグナル」も稼働した。(全7話中第7話)