人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
日本に現在住んでいる私たちは、いったいどこからやってきたのか。国立遺伝学研究所教授の斎藤成也氏は、DNAの研究を通して、この問いに挑んでいる。まずは、人類の起源と、彼らがどのようにして日本に来て、他の地域にも広がったのかを聞いてみよう。(全11話中第1話)
国立遺伝学研究所 名誉教授
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
日本に現在住んでいる私たちは、いったいどこからやってきたのか。国立遺伝学研究所教授の斎藤成也氏は、DNAの研究を通して、この問いに挑んでいる。まずは、人類の起源と、彼らがどのようにして日本に来て、他の地域にも広がったのかを聞いてみよう。(全11話中第1話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(2)原人・旧人・新人
かつて、世界は現在とは大きく異なり、サフール大陸やスンダランドといった、今では海に沈んだ地域もあった。そこにはどのような人が住んでいたのだろうか。今回は、アフリカから出ていった人々の種類と、どのようにして彼らが混血したのかについて論じる。(全11話中第2話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(3)ヤポネシアの範囲
日本列島の範囲は一体どこまでなのだろうか。現在の国境は、あくまで戦後につくられたにすぎない。そこで、斎藤成也氏はヤポネシアという概念を提唱する。北は千島列島や樺太から、南は与那国島までの南西諸島をさす範囲であり、この地域には、さまざまな時代、場所に人々がやってきた。(全11話中第3話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(4)二重構造モデル
ヤポネシアの人々は、どのようにして遺伝的に形成されてきたのか。その研究に関して、基本的には1980年代以降登場してきた二重構造モデルが支持されており、その中でゲノムデータを用いた方法が登場しているという。今回はその研究の流れを解説する。(全11話中第4話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(5)核ゲノムのSNPに着目
科学の発達により、ミトコンドリアDNAに着目するのではなく、ヒトゲノムを分析する方法が近年、登場し、これによって得られるデータが膨大に増えた。今回は、核ゲノムを用いた新たな研究手法について解説する。(全11話中第5話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(6)二重構造モデルの修正
ミトコンドリアやY染色体の特徴は、さかのぼっても一人の祖先のものがそのまま遺伝することにある。これでは情報量が少なすぎてルーツは分からない。そこでヒトゲノムを用いた分析を行ったが、驚くべき結果が出たという。それは何か。(全11話中第6話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(7)縄文人と弥生人の混血
ヤポネシア人には、縄文人の血を残すアイヌ人とオキナワ人、弥生人の血を引くヤマト人の二重の構造があると、これまで論じられてきた。彼らは、どこで出会ったのだろうか。今回は、古墳時代の東北を取り上げる。(全11話中第7話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(8)縄文人のゲノムを得る
核ゲノムの分析を行うことで、膨大なデータが得られるようになった。斎藤成也氏は、縄文人のゲノムデータを得ることで、東ユーラシア人とヤポネシア人の各集団がどれほど似ているかを分析することに成功した。(全11話中第8話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(9)縄文人の起源
旧石器時代と縄文時代は、人間のDNAとしては連続しているということが、最新の研究で分かってきた。研究は現在も進行中だが、どういうことなのか。今回は、系統樹を用いて、ヤポネシア人の集団の関係と、縄文人の起源を検討する。(全11話中第9話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(10)内なる二重構造
日本の遺伝的な類似性について検討すると、やはり近くの地域は似てくる、と考えたくなる。だが、斎藤成也氏によれば、必ずしもそうではないという。例えば、東北は沖縄に似ており、出雲は東北に似ている。一体これは何を意味するのだろう。(全11話中第10話)
核DNAからさぐる日本のルーツ(11)三段階渡来説
現代の日本では、東北と出雲が似ているといった多様なゲノムの傾向が見られる。シリーズ最終話では、ゲノムを用いた新たな研究発見を踏まえ、従来の二重構造モデルでは説明できない、新たな三段階渡来モデルを提唱する。(全11話中第11話)
私のおすすめの本~日本の成り立ちについて考えるために~
私たちはどこからきたのかという疑問がある。そんな、ヤポネシア人、日本列島人の成り立ちについて考えるためには、どのような本を読めばいいのだろうか。長年研究を続けてきた斎藤成也氏が、4冊の本を薦めてくれた。