講義一覧
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(6)スローメディアと向き合う
これだけスマートフォンが普及し、すぐに最新の情報にありつけるようになったファストメディアの時代には、情報自体はコモディティ化しており、差別化の要因とならない。むしろ今こそ、過去の本や新聞記事などスローメディアに向き合うことで、ある現象が起こる理由や背景に思いをめぐらせることが重要となる。その上で求められるのは、事実だけではなく、その裏にある本質を見極めて経営のセンスを磨いていくことだ。(全6話中第6話)
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(5)本性主義の経営とコロナ
騒動が起こりやすくなったのは、情報流通手段の発達によって、情報拡散のスピードが格段に上がっているためである。しかし、どのような騒動、あるいは緊急事態の中でも人間が高い適応力を示していることは、過去の事例を振り返っても分かる。このような状況下で経営に必要なのは、どんな状況でも変わらない人間の本性を見極め、その本性に合致したサービスを提供することなのである。(全6話中第5話)
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(4)「文脈思考」でトラップを回避せよ
飛び道具トラップにはまりやすいのは、すぐに新たな技術に飛びつくものの、その本質を理解しようとしない専門家と構想を持たない経営者の組み合わせである。これを回避するためには、本質を抽象化し自社の文脈に位置づけて考える「文脈思考」が重要である。コロナ禍の事例を100年前の「米騒動」と結びつけることで、人がいかに不確かな情報に踊らされているかが見えてくる。(全6話中第4話)
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(3)飛び道具トラップと「文脈剥離」
同時代性の罠には、飛び道具トラップ、激動期トラップ、遠近歪曲トラップの三つがある。今回は、IT業界における飛び道具トラップの弊害について考察する。この50年を振り返っても、IT業界ではさまざまな発明が出てきており、そのたびに大きく産業構造が転換するといってメディアは人々の恐怖を煽った。しかし、そうした波に流されて失敗した事例から、本質を見極めて適切な選択を行う能力を培うことの重要性が浮き彫りになる。(全6話中第3話)
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(2)「400万台クラブ」という幻
過去を見ることで「同時代性の罠」をよく理解できる。その例として、1990年代に自動車業界で流行した「400万台クラブ」という言説に着目する。当時の自動車産業の大企業は、生産台数を400万台に届かせるために躍起になって買収や統合を繰り返したが、その結果は芳しくなかった。生産台数は競争力によるものではない結果であることを見誤っていたことが、その原因である。過去を振り返ることで、同時代の熱狂を少しひいた位置から客観的に見る姿勢を身につける必要がある。(全6話中第2話)
「逆・タイムマシン経営論」で見抜く思考の罠(1)同時代性の罠を乗り越える
「逆・タイムマシン経営論」とは何か。孫正義氏が有名な「タイムマシン経営」という言葉があるが、その逆を考えてみたらどうかというのが楠木氏の考えである。近年、IT技術の発展に相まって、メディアから出される情報は指数関数的に増大しつつある。しかし、そうした情報に特有のバイアスがかかっていることを意識しなければ、「同時代性の罠」に絡め取られてしまう。この罠を回避するためにどうすればいいか。(全6話中第1話)
野獣の経営、家畜の経営(2)成熟した国だからこその経営
「昔の日本企業は…」「かつての日本人ビジネスパーソンは…」という言葉を聞くことがあるが、当時と今とでは時代も違えば、ビジネスの環境もまったく違う。「戦争には負けたけれど、経済では」と奮起した当時のモチベーションはもうないが、日本は先人たちが頑張って達成した成熟した国だからこそできる戦い方があるはずだ。(全2話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
焼け野原から復興する力。これは日本人の類いまれなる特質の1つだが、野獣のような経営者を生み出すために、もう一度、焼け野原になることを望むのは非現実的で、かつ非効率だ。では、現代において野獣を育てるものは何か。それは研修やOJTではなく、センスが育つ土壌をつくれるか否かにかかっている。(全2話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(3)歴史は最高の教材
フランスを代表する哲学者・モンテーニュは、迫り来るペストの脅威の中、いつもと同じように農作業に精を出す農夫の姿を見て、我に返ったという。現代を憂い、未来を予測して落胆するのが人間の性、思考の癖であると理解した上で「歴史」に学べるか否かが、日本の未来を左右する。(全3話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(2)「日本沈没」と言いたい人々
リーダーが持つべきセンスというのは、ネガティブなものの中にポジティブな面を見いだし、それを言語化することだ。そして、その言葉は、形容詞や副詞で飾り立てられたものであってはならない。無理がなく、かつ楽しい未来を描けるなら、共感は広がり、ビジョンの実現に向けて前進できるだろう。(全3話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
過去の新聞や雑誌を読み返すと、本質が見えてくることがある。例えば、昨今、大問題となっている人口減少は、実は戦前から、ついこの間まで、日本にとっては悲願だった。しかし、一度、それが達成されると、一転して人口減で日本は沈没すると喧伝される。同時代の罠に惑わされないためにも、「逆・タイムマシン」に飛び乗る必要があるのだ。(全3話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、商売における優れた戦略の条件について解説する、シリーズ講話の第1話目。商売は科学とは違って、法則の存在しない世界である。当たり前のことを現実の商売で実践することの大切さについて、ファーストリテイリングの柳井氏を参考に考える。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第1話)
ストーリーとしての競争戦略(2)因果論理のつながり
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ストーリーとしての競争戦略の意味を解説する。井原西鶴の時代から、戦略は「儲け話」としてストーリーだった。事業で長期利益を上げるためには、競争相手との違いを作らなければならないが、その違いを因果論理のつながりで結び付けていく必要がある。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第2話)
ストーリーとしての競争戦略(3)戦略は順列だ
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ストーリーとしての戦略について具体的事例から解説する。ピジョンは、ものづくりの力をストーリーの要素とすることで成功した。IBJもインターネットだけでなく、アナログなサービスを取り入れ、他社と戦略的な差を生み出している。戦略は組み合わせではなく順列なのだ。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第3話)
ストーリーとしての競争戦略(4)飛び道具に頼らない商売
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、戦略の鍵となる時間的奥行きについて解説する。スポーツには、短距離走のように生まれ持った運動能力が有利となる競技もあれば、バドミントンのように戦略が勝利の決め手となる競技もある。成熟した経済では、商売はバドミントン型になり、戦略こそがものを言うだろう。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第4話)
ストーリーとしての競争戦略(5)コンセプトの重要性
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、コンセプトの重要性について解説する。コンセプトはストーリーの起点となるもので、商売の基である。サウスウエスト航空はLCCを始めた時、空飛ぶバスというコンセプトを打ち出した。Amazonはeコマースの単なる購買インフラではなく、購買意思決定のインフラを売っている。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第5話)
ストーリーとしての競争戦略(6)事例に見る経営者の戦略
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ホットペッパーとスターバックスを事例として、コンセプトの重要性を解説する。スターバックスやホットペッパーは、「第3の場所」・「狭域情報」といったコンセプトを的確に定義し得たからこそ、様々な戦略をストーリーとして一貫して展開することができた。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第6話)
ストーリーとしての競争戦略(7)クリティカル・コア
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、戦略のクリティカル・コアについて解説する。戦略には、良い事であれば他の会社も真似をする、というジレンマがある。このジレンマを乗り越えるためには、全体のストーリーの中に、非合理的な要素をあえて入れることが重要だ。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第7話)
ストーリーとしての競争戦略(8)ひょっとしたらの発想
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏による、優れた戦略構想についての解説講義の最終回。Amazonは自社在庫を抱えているためROAが低い。しかしこの非合理的要素は、顧客に意思決定インフラを提供するのに必須である。戦略を立てる際には、「ひょっとしたら」という気軽な発想で考えてみるべきだ。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第8話)
ストーリーとしての競争戦略(9)質疑応答編
スタッフに儲けを理解させるにはどうすべきか。新卒の大手志向を変えるには何が必要か。本社と事業部の関係はどうあるべきか。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、「ストーリーとしての競争戦略」講義後、会場からの質問に答える。(2017年5月25日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」より、全9話中第9話)
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営のセンスとは何か? センスのある経営者の条件はどのようなものか? 一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が解説するシリーズ講義「優れた経営者の条件」の第1回。今回は、担当者と経営者の違いがスキルとセンスにあるということを見ていく。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス」より、全8話中第1話)
優れた経営者の条件(2)グローバル化と英語の壁
日本人は内向きで島国根性、グローバル化に対応できていない――。このように言われて久しいが、この言説は真実か。単純な文化論に押し込めず、英語をスキルとして学び直すための考え方の秘訣を、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が伝授する。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス」より、全8話中第2話)
優れた経営者の条件(3)多様性と経営人材の不足
グローバル化の壁は英語以外にも存在する。多様性のマネジメントと経営人材の不足である。社内にすでに存在するはずの多様性をいかに活用して、経営に統合していけばいいのか。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、経営におけるダイバーシティの意義について解説する。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス」より、全8話中第3話)
優れた経営者の条件(4)ジェネラリスト
センスがある経営とはどのようなものだろうか。その条件として、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏はジェネラリストであること、そして「何をしないか」を決断する能力を挙げる。全体を相手にして儲けを追求し、違いを生み出す戦略をつくり出せるかどうかが、センスの決め手である。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件:戦略ストーリーを創るセンス」より、全8話中第4話)
優れた経営者の条件(5)抽象と具体の往復運動
センスのある経営者の条件とは何か。時間的な奥行きと広がりを持った、直列の思考こそが戦略を左右するだろう。さらにセンスのある経営者は、どんなに具体的な場面からでも抽象的な論理を引き出すことができる。ファーストリテイリングの柳井正会長を例に、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が解説する。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件」より、全8話中第5話)
優れた経営者の条件(6)業界内の矛盾を直視せよ
IDOM(ガリバー)は中古車業界にどんな革新をもたらしたのか。業界内で誰もが見て見ぬふりをしてきた矛盾を直視することで、優れた戦略を作り出すことができるのだと、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏は語る。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件」より、全8話中第6話)
優れた経営者の条件(7)好き嫌いを優先する
センスのある経営者はどこか明るく、物事の良しあしよりも自分の好き嫌いを優先させる。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏が、ソニー・ミュージックエンタテインメント元代表取締役社長の丸山茂雄氏や日本電産創業者の永守重信氏を例に、センスのある経営者の条件について解説する。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件」より、全8話中第7話)
優れた経営者の条件(8)努力の娯楽化
仕事では自分の好き嫌いを優先させるべきだ。好きなことであれば自分の努力が娯楽化されるからである。これが余人をもって代えがたい経営人材になるためには欠かせないことなのだ。一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授の楠木建氏は、この観点から昨今のホワイト・ブラック企業という名称にも異議を唱える。(2017年11月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「優れた経営者の条件」より、全8話中第8話)
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの本質を考える上でのポイントは、イノベーションが何かということよりもむしろ、それが「何ではない」ということだと、一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授の楠木建氏は言う。昨今の経済界において欠けているのは、その点を熟知し、単なる技術的進歩と区別することである。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第1話)
イノベーションの本質を考える(2)進歩との違い
イノベーションと進歩の大きな違いは、「何が良いか」というパフォーマンスの次元を連続的に捉えるか否かという点にあると、楠木建氏は言う。こうした考え方は、私たちの普段の生活においてどのように現れてくるのだろうか。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第2話)
イノベーションの本質を考える(3)イノベーション事例
「何が良いか」という価値基準そのものを変えることがイノベーションであると楠木建氏は言うが、それではこれまでの歴史でどのようなものがイノベーションであったといえるのか。豊富な実例から解説する。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第3話)
イノベーションの本質を考える(4)カテゴリーをつくる
イノベーションの究極の形が新しいカテゴリーの創出にあると、楠木建氏は指摘する。ウォークマンやワンカップ大関などに見られるという「カテゴリーイノベーション」とはいかなる特徴を持つのか。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第4話)
イノベーションの本質を考える(5)異日常の提案
イノベーションが「思いつき」の勝負であると、楠木建氏は指摘する。その好例として挙げられるのは、高級ウィッグで有名なアデンランスの男性受け商品である。どのような「思いつき」がイノベーションにつながっていくのだろうか。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第5話)
イノベーションの本質を考える(6)可視性の罠
イノベーションを望みつつ、そこから逸脱してしまう傾向が、「可視性の罠」によって引き起こされているという。「可視性の罠」とは、今見えている価値の次元でものを考えることから起こる現象のことを指すが、なぜそうなってしまうのか。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第6話)
イノベーションの本質を考える(7)人間の本性
シリーズレクチャーの総括として、イノベーションを起こす際に、何をやるべきでは「ない」かについて論じる。ポイントは、イノベーションとは組織的に生み出すことができないということである。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第7話)
イノベーションの本質を考える(8)質疑応答
イノベーションを起こす人の特徴にはどのようなものがあるか。また、アートとイノベーションについて、農業におけるイノベーションについてなど、講演後に上がったいくつかの質問に対して、仮説などを提示しながら応えていく。(2018年9月7日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「イノベーションの本質」より、全8話中第8話)